IFCデータタイプ

この章では、ARCHICADで使用できる主要なIFCデータタイプについて簡単に説明します。

IFCエンティティ

IFCモデル階層

IFCタイプ

IFC製品タイプ

IFCコンテナ

IFC属性

IFCプロパティ

IFC分類参照

IFC割り当て

IFCエンティティ

IFCモデルでは、プロジェクト情報(例えば、ARCHICADプロジェクトから生成されたもの)は、IFCタイプ、属性、割り当て、製品タイプなどのIFCエンティティセットとして表現されます。各IFCエンティティ(IfcWallなど)には、定数のIFC属性に加え、任意の数の追加のIFCプロパティが含まれます。

一部のIFCエンティティは、他のエンティティの特性を表します。この中には、ARCHICAD属性に対応するものもあります。このような対応するエンティティは、IFCモデルの生成、エクスポート、またはインポート時に自動的にマップされます。

ARCHICAD属性

IFCエンティティ

レイヤー

IfcPresentationLayerAssignment

ビルディングマテリアル

IfcMaterial

面積

IfcSurfaceStyleRendering

複合構造

IfcMaterialLayerSet (押出図形)またはIfcMaterialList(BREP形状)

断面形状

IfcProfileDef

インポート用変換設定を使用して環境設定を変更し、インポートするIFCモデルのレイヤー、ビルディングマテリアル、および材質を変換できます。

IFCインポートのレイヤー変換」および「材質と表面の変換」を参照してください。

IFCモデル階層

IFCモデルは、階層順序で作成されたIFCエンティティで構成されています。次の図に示すように、各フロア高度(IfcBuildingStorey)がARCHICADのフロアに対応しています。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/115_ifc/IFCModelHierarchy.png 

ARCHICADでは、全ての要素およびオブジェクトがホームフロアにリンクされています。そのため、デフォルトでは、IFCモデルの階層では、全ての要素およびオブジェクトは要素のホームフロアと同じ名前のIfcBuildingStoreyの下に表示されます。ただし、IFCプロジェクトマネージャーでは、要素はIfcSiteまたはIfcBuildingに直接割り当てられます。例えば、近隣建物(例、モルフツールで定義されたもの)およびサイトコンテキスト要素(木、フェンス、道路など)は、フロアシステムによりプロジェクト建築に割り当てられるのではなく、サイトに割り当てられます。

デフォルトでは、IFC要素(例、IfcBuildingElements)およびIfcSpaceエンティティは、IFCモデルと同じ階層レベルにあります。ただし、ARCHICADオブジェクトおよびモルフを、その分類に関係なくIFCエクスポート用に、配置フロアでなくそれらを含むARCHICADのゾーン(IfcSpace)に表示し、リンクすることができます。

IFC空間要素

IfcProject、IfcSite、IfcBuilding、IfcBuildingStorey、およびIfcSpaceは、IFC空間要素です。これらはIFCプロジェクトマネージャーの上位階層に表示されます。

IFCプロジェクトマネージャーでは、これらの要素を管理できるだけでなく、そのIFC関連データを編集することもできます。

ただし、特殊な要素のIFC属性値は、現在のARCHICADプロジェクトのデータから取得されます。

IfcSiteは、IfcProjectの地理的な位置です。これは形状を持つことができますが、必要ではありません。ARCHICADでは、サイト形状は、メッシュ要素、サイトタイプのオブジェクト、または分類が「サイト形状」の要素で表現されます。

ARCHICADで操作およびインポートできる建築物は1つのみ(IfcBuilding)です。ただし、IfcSiteは複数インポートできます。IfcBuildingより上の階層にあるIfcSiteでも可能です。そのため、複数の建築物を含むIFCファイルをインポートする場合は、インポートする建築物を1つのみ選択できます。

建物およびサイトの選択」を参照してください。

ただし、他のアプリケーションでは、建築物のトポグラフィを複数のIfcSiteにエクスポートできます。この場合には、IfcBuildingをインポートするとIfcSiteの全てがインポートされ、インポートされたIfcBuildingを含めて1つのIfcSiteに結合されます。結果として1つのIfcSiteと1つのIfcBuildingになりますが、IfcSiteには全てのIfcSiteが含まれます。

ARCHICADプロジェクト情報に基づいたグローバルID(IFC属性)の制御方法

デフォルトでは、IFCプロジェクト、IFCサイト、IFC建物、IFCフロアの各エンティティには同じGlobalID属性が割り当てられます。さらに詳しく言うと、[プロジェクト情報]ダイアログボックス([ファイル]→[情報])で各IDフィールドに同じキーワードが指定されている場合(または値が何も指定されていない場合)、Global IDが同じになります。ただし、これらのキーワードを[プロジェクト情報]ダイアログボックスで変更すると、空間エンティティが同一のGlobalIDを持つか、または異なるGlobalIDを持つかを制御できます。

例えば、2つの個別の建築物(それぞれ個別のARCHICADプロジェクトで保存)があるとします。両方のプロジェクトと両方のサイトで同じGlobalIDを共有しますが、各サイトのさまざまな建物には異なるGlobalIDを設定する場合を考えます。

これを行うには、両方のプロジェクトの「プロジェクトID」フィールドと「敷地ID」フィールドに同じキーワードを指定します。「建造物ID」フィールドには異なるキーワードを入力します。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/115_ifc/allinone_v2.png 

[プロジェクト情報]ダイアログボックスには、IFCフロアエンティティに対応するIDフィールドはありません。IFCフロアエンティティのGlobalIDは、その建造物IDから取得されます。2つの個別のARCHICADプロジェクト内の2つの建物の建造物IDが同じである場合、フロア番号が同じであるそれらの建物の全てのフロアのGlobalIDは同じになります。

IFCタイプ

IFCタイプはIFCエンティティの1つであり、IFCモデル要素を階層構造にグループ化します。これはプロジェクトマネージャーにツリー構造で表示されます。

モデルをIFC形式でエクスポートすると、その全ての要素にIFCタイプが割り当てられます。ARCHICADでは、IFCタイプはエクスポート用変換設定の(ツールまたは分類による)タイプマッピング定義に基づいて生成されます。

IFCエクスポートのタイプマッピング」を参照してください。

ARCHICADでは、要素のIFCタイプは、要素設定(またはIFCプロジェクトマネージャーで選択した要素)の[IFCプロパティを管理]に表示されます。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/115_ifc/IFCType.png 

[検索と選択]を使用して[IFCタイプ]基準ごとのフィルタリングや、インタラクティブな要素一覧表を使用してARCHICAD要素のデータのリスト表示を行うこともできます。例えば、 IfcSlab IFCタイプのモデル要素のみを選択またはリストすることができます。

IFCデータを使用して要素条件を定義」を参照してください。

IFC製品タイプ

IFC製品タイプの定義では、他のエンティティの特定のスタイル/タイプを共通のIFC属性およびプロパティと関連付けます。例えば、IfcWindowStyleは多数の窓(IfcWindow)で参照されるIFC製品タイプです。

IFC製品タイプエンティティは、エクスポート用変換設定のタイプマッピング定義に基づき、ARCHICAD要素に対して生成されます。

IFCエクスポートのタイプマッピング」を参照してください。

IFCコンテナ

IFCコンテナ(IfcRelAggregatesの関連オブジェクト)は、独自の本体形状は持たず、その構成要素(IfcRelAggregatesの関連オブジェクト)に形状と構造関係のデータを含むIFCエンティティです。

ARCHICADの階層要素をIFCコンテナとしてエクスポート

ARCHICADプロジェクトでは、エクスポート用IFC変換設定に、複数の階層要素(カーテンウォール、階段、手摺り)を単一要素(1つの階層要素)としてIFCにエクスポートするためのオプションが用意されています。

[階層を保持]オプションを使用してエクスポートした場合、階層要素はIFCコンテナエンティティになり、そのサブ要素は個々のIFC要素になります。これにより、元のARCHICAD要素(階段など)の複数階層が反映されます。

単一要素としてエクスポートした場合、階層要素は単一のIFCエンティティになり、その全てのサブ要素がそこに含まれます。したがって、元の要素の階層特性(例:階段の場合、その全てのサブ構成要素が分離しています)は失われます。

[複合構造と断面形状要素を部品に分解する]オプションを使用するIFCエクスポートの場合、建築物要素からIFCコンテナ要素が出力IFCファイルに生成されます。例えば、複合構造要素を「IfcWall」タイプのIFCコンテナ要素として形状なしで保存し、層部分によって「IfcBuildingElementPart」要素として形状を提供できます。

これらのエクスポートオプションについては、「IFCエクスポートの形状変換」を参照してください。

IFC属性

IFC属性は、IFCエンティティの主要なIDです。IFC属性の名前は固定で、IFC標準コアの一環としてbuildingSMARTによって定義されたものです。

このIFC属性名の大部分はプロジェクトから取得されます。例えば、IfcWall建築物要素のIFC属性は、次のようになります。

GlobalId:IFCモデル内のIfcWallのグローバルなユニークID(編集不可)。

OwnerHistory:IfcWallの現在の所有権に関する情報の割り当て。

名称:製品出荷時にデフォルトで設定された値は、IfcWallのARCHICAD ID([壁設定]ダイアログボックス→[分類とプロパティ]パネル)です。

説明:任意の説明テキスト。

オブジェクトタイプ:要素のサブタイプまたは要素のタイプ情報を示す任意のテキスト。

タグ:製品出荷時にデフォルトで設定された値は、IfcWallのARCHICAD「ユニークID」(IFC GlobalIdとは異なる)です。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/115_ifc/IFCPropertyAttribute.png 

OwnerHistoryは全ての個別のオブジェクト、関係性、およびプロパティに直接アタッチされます。その構成要素と値はプロジェクトデータから取得され、ARCHICADユーザーインターフェイスには表示されません。これには、例えば、所有アクター(OwningUser)(ARCHICADの[プロジェクト情報]([ファイル]→[情報])に追加された所有者データ)が含まれます。

IFCプロパティ

IFCプロパティは、IFCエンティティに割り当てられた追加の(大多数はIFCタイプ固有の)パラメータです。IFCプロパティは、標準データまたは非標準データとして使用できます。

標準データは、いわゆる「IFC2x3スキーム」データであり、buildingSMARTにより定義され、名称が接頭文字「Pset_」で始まるプロパティセットに保存されます。

非標準データは、任意のプロパティ名を使用してエクスポートアプリケーションによって作成され、任意のプロパティセットに保存されます(通常、これらのプロパティセットの名称にはエクスポートアプリケーション名、あるいはそのプロパティを必要とするIFCモデルビュー定義の名称が含まれます)。

IFCエクスポートのプロパティマッピング」を参照してください。

IFC分類参照

分類参照(IfcClassificationReference)により、IFC要素をカテゴリに整理できます。項目参照ID、分類名属性、およびその他いくつかのオプションパラメータをあらゆるプロジェクト要素(建築、フロア、建築物要素、またはゾーンなど)に割り当てることができます。

このシステムにより、IFCプロジェクトマネージャーと要素の設定ダイアログの両方で要素を分類できます。

カスタムIFCプロパティの新規作成」を参照してください。

IFC割り当て

IFC割り当て(IfcRelAssigns)では、プロジェクト要素間の関係を定義します。各割り当てタイプが、独自のIFC属性(最も重要な属性はオブジェクトタイプ)と、標準およびカスタムIFCプロパティを持つことができます。IFC標準の主な割り当てタイプは下記のとおりです。

IFCグループ(IfcGroup):これを使用して任意のプロジェクト要素(建築物要素、フロアなど)のグループを作成します。例:フレームの構成要素である柱と梁を1つのグループにします。複数レベルの階層でグルーブ化することも可能です。例えば、「フレーム-システム」グルーブで、フレームグループをグループ化できます。

IFCゾーン(IfcZone):これを使用してIfcSpace要素(ARCHICADゾーンに対応)のグループを作成します。例:同じ機能を持つARCHICADゾーンを、例えば「セキュリティゾーン」のような名前で1つのIfcZoneにグループ化します。IfcZone割り当てでは、複数レベルの階層でグルーブ化することも可能です。例えば、上位レベルであるIfcZoneグループ(Governmentalゾーン)の一部であるIfcZone(セキュリティゾーン)で、ARCHICADのゾーン(IfcSpaces)をグループ化することができます。

IFCシステム(IfcSystem):これを使用して、プロジェクト要素(特にMEP要素)のグループを手動でシステム階層に作成します。作成はMEP Modelerで定義済みシステムを使用して、あるいは、MEPアプリケーションなどによってエクスポートされたシステムをインポートします。サブシステム階層の定義(親子システム-メインサブシステム)も使用できます。例えば、エレベータシステム内のグループ化されたエレベータを、機械システムの子(サブ)システムにすることができます。また、配管要素を、配管システムの冷水サブシステムに割り当てることができます。システムを空間構造に関係する情報(IfcSite、IfcBuilding、IfcStorey またはIfcSpace)に結びつけることもできます。例えば、ダクトシステムに、ダクトが通るARCHICADゾーン(IfcSpace)を全て追加できます。

IFC建物システム

IFC分岐システム

ARCHICADでは、上述のIFC割り当てタイプを全てサポートしています。

IFCプロジェクトマネージャーインターフェイスにより、プロジェクトにあらゆる割り当てを行うことができ、IFCデータを全て管理できます。

上述の割り当てデータは全て、IFCモデルのインポートで生成されます(例、MEP-type IFCモデルに保存されたIfcSystems、FMアプリケーションで定義されたIfcZones)。

主導で定義した、または事前にインポートした使用可能なIFC割り当ては全て、現在のARCHICADプロジェクトからマップした新規のIFCモデルとともに、エクスポートされます。

IFCプロジェクトマネージャーの割り当ての使用」を参照してください。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/115_ifc/IFCAssignments.png