ビルディングマテリアル:属性の移行に関する問題

ARCHICAD 16以前からの移行

ビルディングマテリアル:新しい「スーパー属性」

ARCHICAD 17以降は、全ての組み立て要素が、切断塗りつぶしの代わりにビルディングマテリアルを使用するようになります。

ビルディングマテリアル属性を編集すると、モデル全体が変更されます。

ビルディングマテリアルの自動生成と割り当て

ARCHICAD 17以前のバージョンのファイルをARCHICAD 24で開くと、必要なビルディングマテリアルがプログラムにより自動的に作成され、全てのモデルビューにおいてモデルの元のグラフィカル表示を維持したまま全ての要素に割り当てられます。

移行アルゴリズムは、プロジェクトの全てのモデル要素、デフォルト、お気に入り、未使用の複合構造/断面形状などを、それらの優先度、切断塗りつぶし、塗りつぶし向き、表面、ペン設定とともに検索します。

設定がまったく同じ場合は、新しいビルディングマテリアルが生成されます (新しく作成される属性の数を最小限に抑えるために、切断塗りつぶしペンおよび表面のバリエーションは、要素レベルの指定変更として取り扱われます)。

新規ビルディングマテリアルの名前は、元の切断塗りつぶしの名前を基に生成され、9桁の識別子が拡張子として追加されます(以下の「ホットリンクの使用:属性の処理」に説明があります)。

この自動生成は、旧バージョンのファイルをARCHICAD 24で開くときに、モデル分析プロセスを経由して作成できる最適な生成です。このプロセスはモデル内の全ての要素を確認し、必要な全てのビルディングマテリアルを作成するため、結果としてプロジェクト内で使用される設定を正確に表現できます。ただし、ビルディングマテリアルはARCHICADに新しいロジックを導入したため、ユーザーは生成された属性セットを見直して最終調整を行う必要があります。

移行したプロジェクトでの属性の取り扱い」を参照してください。

新規複合構造および断面形状の生成

ARCHICAD 24では、以前複合構造および断面形状要素に使用できていた要素レベルの設定の一部([切断線]、[切断線ペン]、[区切り線]、[分離線ペン]、[仕上げ優先度を有効化])を要素レベルで使用できなくなりました。断面形状および複合構造要素の場合は、これらの設定を構造内で定義します。

したがって、複合構造/断面形状要素が旧バージョンのファイルで要素レベルの設定を使用していた(「構造設定を適用」オプションのチェックが外れていた)場合は、ARCHICAD 24で新規複合構造または断面形状が生成されます。

移行したプロジェクトでの属性の取り扱い

必要なものを残して不要なものを削除するために、手動で属性セットを整理することをお勧めします。

移行前

1.バックアップの作成

プロジェクトのバックアップコピーを作成します。後で属性を誤って削除した場合は、属性マネージャーを使用してバックアップコピーから再度追加できます。

2.不要な属性の削除

属性マネージャーのタブページを使用して、各属性タイプのリストを表示し、不要な属性を削除します。各属性タイプ(各タブページ)を1つずつ確認します。

属性タイプごとに、不要な各属性を1つずつ削除します(属性マネージャーで削除する属性を選択し、[削除]をクリックします)。

特定の属性の要否が不明な場合は、その名前を変更(例えば、tag _deleteを名前に追加する)してから、プロジェクトを見直して実際に使用されているかどうかを確認できます。

[未使用の削除]コマンドは、削除する属性をプロジェクトで使用しないことが確実な場合以外、使用しないでください。

いずれかの要素のデフォルトまたはお気に入りで特定の属性を使用していても、それがプロジェクト内に配置されていない場合、[削除]コマンドはその属性を「未使用」と見なして削除します。

[削除]コマンドは、ライブラリ部品のGDLスクリプトで使用されている属性も削除します。

複数のプロジェクトを移行する場合:

複数の類似のプロジェクトをARCHICAD 24に移行する場合は、[ファイルによって属性を置換]機能が移行プロセスのスピードアップに役立ちます。これは、1つ1つの属性の設定ダイアログで[削除と置換]コマンドを繰り返し実行する代わりに、属性の削除と置換機能を自動化するものです。この手順では、所定の形式のテキストファイルの生成と、そのファイルを呼び出すコマンドの実行が必要です。

この手順の説明は、ヘルプセンターにある属性の移行についての記事を参照してください

3.要素のデフォルトおよびお気に入りの見直し

プロジェクトをARCHICAD 24に移行する場合、デフォルトおよびお気に入りの要素設定により、移行時に新しい属性が生成される可能性があります。移行前に、プロジェクトで実際に使用されている要素を基に、デフォルト/お気に入りが必要であり最新の状態であることを確認します (ARCHICAD 24は、配置されている要素が実際には使用されていない場合でも、デフォルトまたはお気に入りに対応する新しい属性を生成します)。

移行後

1.不要な属性の削除(2度目)

ビルディングマテリアル設定のビルディングマテリアルを見直して、削除できるものや別のものと置換できるものを特定します。

生成されたセットの一部ではないビルディングマテリアルが必要な場合は、属性マネージャで別のARCHICAD 24プロジェクトから簡単に追加することや、ビルディングマテリアル設定内で直接作成することができます([新規作成]をクリックします)。

重複する切断塗りつぶしの廃止:旧バージョンのプロジェクトの多くには、まったく同じ切断塗りつぶしパターンを使用する複数の切断塗りつぶしが含まれています。以前は、他のプロパティ(例えば、物理プロパティなど)で区別するためにこれらの重複する塗りつぶしが必要でした。ARCHICAD 24では、1つの切断塗りつぶしパターンを多くのビルディングマテリアルと関連付けることができます。切断塗りつぶしのリストを確認し、不要な重複を削除してください。

生成される属性の数を抑えるためのワークフローのヒント」を参照してください。

2.ビルディングマテリアルの見直しおよび名前の修正

ビルディングマテリアル名を見直し、必要に応じて修正します(ビルディングマテリアルは、切断塗りつぶしから名前を継承します)。

注記:全ての参加ファイルを移行するまで、ホットリンクとして、またはホットリンクとともに使用しているファイルに含まれるビルディングマテリアルの名前は変更しないことをお勧めします。名前の変更は、ホットリンクを更新する前に行ってください。

ホットリンクファイルを使用する場合の推奨事項」を参照してください。

3.交差の優先度の見直し

生成されたビルディングマテリアルには、交差の優先度が0のものも含まれている可能性があります(柱やスラブなどの、旧バージョンで交差の優先度がなかったインポート要素や、デフォルトの交差の優先度0でインポートされた断面形状など)。これらを見直し、必要に応じて交差の優先度を割り当てます。

生成される属性の数を抑えるためのワークフローのヒント

属性設定内の新しい「削除して置換」機能([削除]をクリックした後で使用可能)を使用します。モデル全体で置換する置換後の属性を定義します(ビルディングマテリアル、線、塗りつぶし、複合構造、断面形状、材質、ゾーンカテゴリで使用できます)。

[検索と選択]を使用し、特定の属性を持つモデル要素をプロジェクト内で検索します(全ての3D要素が表示されて検出できるよう、3Dウィンドウを使用し、全てのレイヤーをオンにしてロックを解除し、[3D要素フィルタ]設定を調整することをお勧めします)。

連動一覧表を使用してプロジェクト内の要素を検索およびリスト表示し、連動一覧表環境で直接簡単に要素を修正します。

ホットリンクの使用:属性の処理

ホットリンクファイルを追加または更新した場合に属性セットが一致しないときは、ARCHICADは、以下のように自動的に属性セットを管理します。

ホットリンクファイル(モジュール.MODまたはネイティブARCHICAD .PLNファイル)の属性は、同じ属性タイプ内の名前によりホストファイル内の属性と関連付けられます。次に例を示します。

同じ名前が存在する場合、ホットリンクの「属性A」はホストの「属性A」にリンクされます。

同じ名前が存在しない場合、ホットリンクの「属性A」はホスト内に新しい「属性A」を作成します。

「属性A」の名前をホストで「属性B」に変更し、ホットリンクファイルを更新すると、新しい「属性A」が作成されます(ポイント2を参照)。

ホットリンクファイルを移行する場合も、正確なモデルの表示を維持するために、前述の同じ「属性名を使用」ロジックが適用されます。

上記のとおり、ARCHICAD 24では、移行したプロジェクトから生成されるビルディングマテリアル属性が、切断塗りつぶし名および9桁の番号を使用します。この識別子は、生成されるビルディングマテリアルの内容と設定を表します。したがって、同じ番号の属性はまったく同じ設定を持ちます。(ID番号を含む)ビルディングマテリアル名を変更すると、名前を変更された属性はホットリンクファイル内のまったく同じ対応物とペアにならないため、ホットリンクの更新後に新しい属性が作成されます。

ホットリンクファイルを使用する場合の推奨事項

ホットリンクファイルをプロジェクトで使用する場合は、ホストとホットリンクファイルの両方で同じ属性セットを使用することをお勧めします。

ファイル間の整合性を維持するには、全てのホットリンクファイルを同じバージョンに移行する方法が最適です。

ホストとホットリンクファイルの両方をARCHICAD 24に移行する場合:

まず、ホスト内の属性を整理および更新します。

次に、全てのホットリンクファイルで同じ作業を行ってホットリンクを更新します。この作業を行わない場合、更新により、不要な属性が生成される場合があります。

全ての参加ファイルを移行するまで、ホットリンクとして使用、またはホットリンクとともに使用しているファイルに含まれるビルディングマテリアルの名前は変更しないことをお勧めします。名前の変更は、ホットリンクを更新する前に行ってください。

ビルディングマテリアル名を変更する場合は、必ずリンクを設定した全てのファイルで一貫して変更してください。

場合によっては、ホットリンクをARCHICAD 24に移行したくない場合もあります(旧バージョンのARCHICADのファイルを今も使用している場合など)。自動属性生成および名前設定により、ここでもARCHICAD 24ホストでこれらのホットリンクファイルから生成されるビルディングマテリアルの名前を変更しないことをお勧めします。名前を変更すると、これらの旧バージョンのホットリンクファイルが次回ホストで更新されるときに、新しい属性が生成されます。

または、ホストを更新した後に、ホットリンクモジュールマネージャを使用してモジュールファイル(.mod)をホストファイルからエクスポートすることができます。モジュールを選択して[ファイルに保存]をクリックします。これにより、整理された属性に基づく新しいモジュールファイルがホストから生成されます。この方法では、全てのモジュールをそれぞれ個別に整理する手間を省くことができます。ただし、このモジュールを他のファイルで使用する場合は、ファイルでこの更新済みのモジュールを再リンクする必要があります。

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