構造の特性設定(エネルギー評価)

U値(R値)計算機能

U値は、選択した構造の熱伝導係数を示します。U値計算機能を使用して、構造のビルディングマテリアルの物理的特性に基づいて、プロジェクトの構造の熱に対する物理的性能を見積もります。

注記:U値を手動で編集すると、評価プロセスをより簡単かつ迅速に行うことができます。ただし、評価の精度は少し低下します。

U値(R値)上書き」を参照してください。

リスト内の任意の構造を選択します。[U値]列で、ロックアイコンをクローズ(赤)にした状態で[...]ボタンをクリックして、[U値計算機能]ダイアログを表示します。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/100_energyevaluation/UValueCalculator.png 

U値計算機能では、選択した構造を構成する塗りつぶしが、関連特性(厚さ、熱伝導率、密度、比熱容量)と一緒にリスト表示され、それぞれがデフォルト値を示します。

注記:これらの値は、ARCHICADの[ビルディングマテリアル]ダイアログボックスの[物理的特性]パネルから取得されます。これらの値は全て手動で編集できます。

地域の規則に応じて、U値の逆数であるR値(熱抵抗値)を使用することもできます。U値の代わりにR値をリスト表示するには(ここと最終の評価レポートの両方に表示)、このダイアログボックスの右下にあるU値のポップアップをクリックして、R値を選択します。

外部/内部の熱伝達率、および構造の表面積に関連するヒートブリッジが、[U値(R値)計算機能]ダイアログボックスの左下に表示されます。材質特性の他に、これらのデータは計算に必要です。

算出されたU値は、パネルの右下隅に表示されます。

注記:このダイアログボックスには、建築物の構成要素の静的性能データに基づいて、U値が算出されて表示されます。このようなデータは、エネルギー性能評価レポートの基本値/熱伝達率の下に表示されます。ただし、エネルギー評価では、さらに正確な動的計算アルゴリズムが使用されており、基準年の建築物のエネルギー収支をシミュレートする場合、建築物の外郭構造の毎時間の熱伝導性が算出されます。この動的分析の結果が、エネルギー評価レポートに表示されるエネルギー消費量、二酸化炭素排出量(カーボンフットプリント)、および月次エネルギー収支の各データの基盤となります。

U値(R値)計算アルゴリズム

U値計算機能は、多数の国家規格で使用される静的アルゴリズムに基づいて、ビルディングマテリアルおよび複合構造の平均の熱伝導係数を計算します。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/100_energyevaluation/Coefficient.png 

ヒートブリッジの効果を含めるために、構造グループ項目の平均U値にデルタU値が追加されます。外部/内部の熱伝達率およびデルタU値は、熱気流を基準とした評価対象の構造の位置に応じて異なります。デフォルト設定はエネルギー評価で定義されます。ただし、構造状況の要求が厳しい場合やプロジェクトの場所の標準が異なる場合は、これらの事前定義された値を確認して手動で変更することをお勧めします。

物理特性割り当て

U値計算機能にリスト表示される層を表示します。それぞれの仕上げの層の種類、名前、および厚さは、ARCHICADの要素の設定から派生しており、リストの右側の3つの材質特性(熱伝導率、密度、および比熱容量)のデフォルト値が実際のプロジェクト構造に対応していない場合は、ユーザーがこれらの値を修正することができます。

仕上げの熱伝導率、密度、および/または比熱容量の値を変更するには、U値計算機能のリストからこれを選択します。

[...]ボタンをクリックして、[物理特性割り当て]ダイアログボックスにアクセスします。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/100_energyevaluation/Thermal_Property_Assignment.png 

[物理特性割り当て]ダイアログボックスには、このプロジェクト用に定義された全てのビルディングマテリアルが表示されます。このプロジェクトで実際に使用されているビルディングマテリアルは、左の列にチェックマークが付いた状態でここに表示されます。リストされる各塗りつぶしは、割り当てられた関連する物理的特性と一緒に表示されます。

注記:これらの値は、[ビルディングマテリアル]ダイアログボックス([オプション]→[属性設定]→[ビルディングマテリアル])の[物理的特性]パネルから取得されます。

U値計算機能で選択したビルディングマテリアルはリストに強調表示されます。ここでは、直接または[材質カタログ]から定義済みの値を選択して、任意の値を編集できます。

ここでの変更内容は、編集した層を収める全てのプロジェクト要素に自動的に反映されます。

材質カタログ

エネルギー評価の材質は、物理的特性(熱伝導率、密度、比熱容量、内包エネルギー、内包炭素)を表します。[物理特性割り当て]ダイアログボックスで、行を強調表示して右側にある[カタログ]ボタンをクリックします。これにより、エネルギー評価の材質カタログが起動します。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/100_energyevaluation/Material_Catalog.png 

材質カタログは、エネルギー評価内に統合された大規模なデータベースであり、エネルギー計算に関連する建築物の材質情報(熱伝導率、密度、比熱容量、内包エネルギー、内包炭素)を含みます。建築物の材質は、主要カテゴリにグループ化されており、詳細なドロップダウンリストから簡単にアクセスしてすばやく選択できます。

ここでニーズに対応する物理的特性を持つ材質を選択します。[材質カタログ]で[OK]をクリックすると、選択した材質の熱特性が、[物理特性割り当て]で選択したビルディングマテリアルに割り当てられます。

このようにして、計算エンジンは、ユーザーが数値を入力しなくても、熱評価に必要な物理データを取得します。

 U値(R値)上書き

U値計算機能と物理特性割り当て機能を使用する代わりに、U値(またはR値)を手動で入力することもできます。物理特性割り当てを省略すると、プロジェクトの評価に必要な時間が大幅に短縮されますが、結果の正確性は若干失われます。

リスト内の任意の構造を選択します。[U値]列で、ロックアイコンをオープン(白)にした状態で[...]ボタンをクリックして、[U値上書き]ダイアログを表示します。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/100_energyevaluation/U_Value_Override.png 

必要に応じて、ポップアップをクリックしてU値とR値を切り替えます。編集可能なフィールドに目的の値を入力します。

構造の蓄熱量

建築モデルから直接取得した材質を使用する代わりに、このポップアップ([U値上書き]ダイアログボックス内)を使用して、選択した構造の熱容量(軽量、中、重量)を選択します。

https://helpcenter.graphisoft.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/archicad-24/100_energyevaluation/Heat_storage_mass.png 

カテゴリのしきい値は次のとおりです。

重量:> 400 kg/床面積

中:250 – 400 kg/床面積

軽量:< 250 kg/床面積

エネルギー評価内では、これらの事前定義設定は平均密度の値にリンクされています。これらの密度の値は内部構造の総体積と乗算され、内部蓄熱質量の数値が計算エンジンに提供されます。

熱流入の設定

選択した構造リスト項目のデフォルトの熱流入(単位:l/s,m2)を修正して、通気性(値は0.6 l/s,m2で低、1.6 l/s,m2で高と見なされます)を正確に定義します。

ARCHICADのエネルギー評価機能は、時間単位のエネルギー収支に関する熱流入効果をシミュレートするだけでなく、総空気漏出量を ACH(時間あたりの換気)でPDFのエネルギー性能レポートの[基本値]セクションに表示します。

日射吸収率

表面の材質特性によって、選択した構造の日射吸収率特性が決まります。選択した構造リスト項目のデフォルトの日射吸収率(単位:%)を修正して、太陽エネルギーの吸収力を正確に定義します。